2輪車による世界最高峰のスプリントレース【MotoGP】は3クラスで分けられていますが、いずれも公道走行が可能な市販車をベースとしたものではなく、メーカーやフレームビルダー等からスプリントレース専用に開発されたマシンを購入して、レギュレーションの範囲内で改良を施して参戦しています。
そんな中で排気量600ccの同一エンジンを使用する厳しいイコールコンディションで行われているのが「Moto2」クラス”で、そのおかげで各車のタイムが拮抗して激しいバトルが展開される人気のレースです。
1週間ほど前のことになりますがイタリア・ミラノで行われた【MotoGP/サンマリノGP】において、前代未聞のトラブルが起きました。
それは「Moto2」クラスの決勝レース中、バックストレートを200km/h以上の速度で競り合っていた相手のマシンのフロントブレーキを握るという暴挙に出たライダーがいたんです。
そのライダーは「Moto2」クラス参戦1年目のイタリア人/ロマーノ・フェナティ選手(22)で、事の発端はレース序盤にフェナティ選手を抜こうとした同じイタリア人ライダーのステファノ・マンシィ選手がイン側から接触して両者ともにコースアウトして順位を下げてしまったことにあります。
これに憤慨したフェナティ選手は再び追い上げて報復に出たわけですが、マンシィ選手の背後からスリップストリームを使って右サイドに並ぶと、なんと左手を伸ばして相手の右手側にあるブレーキレバーをワシ掴みにしたんです。
必要のないフロントブレーキをかけられたマンシィ選手は、バランスを崩しながらもなんとか持ちこたえて事なきを得ていますが、一歩間違えば大クラッシュになりかねない状況でした。
あの速度域でバトルしながら、さらに片手運転の状態で相手のブレーキレバーを握るなんて・・・彼らトップライダーの技術レベルの高さを感じてしまいますが、その決定的瞬間は【MotoGP】のオフィシャル映像にバッチリ映っていますから言い逃れのできない証拠となることでしょう。
結果的には当然のことながらフェナティ選手は失格となり、その後2レースを出場停止のペナルティを受けた上に、チームを解雇されて今シーズンのシートを失ってしまいました。
さらには2019年の契約を結んでいた『MVアグスタ』にも契約解除を通告されていますから、支払った代償はかなり大きなものとなっていますが、決して許されることとは思えません。
報道によると、フェナティ選手は過去にもレース中に相手を蹴ってしまったり、規律を違反してチームから追放されるなどがあったようで、本人は今回のことをとても反省しているようですが、これまでのことを考えると今後同じ様なことをしないとは信じられません。
モータースポーツは命がけの勝負ですし、ひとつ間違えれば命を落としかねませんから、優れた才能を持っているとはいえ、レース界から永久追放に近い処分を受けても仕方のないことだと思います。
モータースポーツだけに限らず、きちんとルールとマナーを守って、お互いに気持ち良く生きていきたいものですね♪